政府は5日の観光立国推進閣僚会議で、訪日外国人を2000万人に増やすための新たな行動計画をまとめた。2000万人を達成する年に訪日客の消費額を4兆円に倍増させ、全国で40万人の雇用創出を目指す方針を盛り込んだ。訪日客を地方に誘導するため、地方の免税店を2万店に増やす目標も掲げた。太田昭宏国土交通相は2020年に2000万人に増やす目標について「(達成時期は)前倒しになるだろう」と述べた。
観光立国推進閣僚会議で、あいさつする安倍首相(左から2人目、5日午前、首相官邸)=共同
日本政府観光局によると、14年の訪日客数は前年比29%増の1341万人と過去最高を記録。今年1~4月も増加傾向を続けている。14年の訪日客による消費額は2兆278億円だった。
計画では、訪日客の拡大に直接的な効果があるビザ要件の緩和を継続する。今月中旬までにブラジル向けの数次ビザの発給を開始。モンゴル向けの数次ビザも早期の発給実現を目指す。
アジアからの訪日客は大都市圏に集中する傾向がある。このため地方の免税店数(4月時点で約6600店)を17年に1万2000店、20年に2万店に増やす目標を掲げた。そのうえで商店街に免税手続きの一括カウンターを設置する「免税商店街」の実現を自治体に強く働きかける。
年間を通じた訪日需要の創出も目指す。冬は夏や春に比べて訪日客が少ない傾向にある。雪質の高さなどを海外に発信して地方のスノーリゾートへの訪日客誘導を狙う。需要の増加が見込まれる外国人スキーインストラクターの在留資格要件の緩和も検討する。
全国のモデル地域に観光地づくりの中心になる組織(日本版DMO)を設立することも盛り込んだ。地元関係者が一体になって観光資源を磨き上げる体制を整える。
このほか観光を被災地の復興に役立てる取り組みも進める。観光庁が関係省庁や地元自治体などと協力して「東北『観光復興』加速化会議」を今月開催する。これを契機に、スタンプラリーや周遊パスといった周遊促進策、交流ツアーの開催などを通じ、訪日客の拡大を促す。訪日客の人気が高い平泉・白神山地などの世界遺産や安比高原などのスノーリゾートの情報を発信し、東北への誘客も推進する。