金正男氏=2001年撮影
韓国の情報機関、国家情報院は15日午前、北朝鮮が故金正日(キムジョンイル)総書記の長男、金正男(キムジョンナム)氏の暗殺を5年前から計画していたと、国会情報委員会に報告した。同委所属議員が明らかにした。正男氏は6日にマレーシアに入国した後、13日に家族が住むマカオに赴く途中、殺害されたという。
特集:金正男氏
韓国統一省報道官は15日午前の記者会見で「殺害されたのは金正男氏であることが確実だと判断している」と語る一方、「詳しいことは、関係国の発表後に説明したい」とした。
北朝鮮メディアは同日午前まで、事件について報じていない。
国情院の報告によれば、事件は13日午前9時ごろ発生した。正男氏がクアラルンプール発マカオ行きの航空機の搭乗を待つ列に加わっていた際、2人組の女が近づき、うち1人が正男氏に接触。直後に正男氏が空港カウンターに助けを求めた。正男氏は病院に移送後に死亡したが、「毒劇物によるテロの可能性が極めて高い」とした。毒針など詳細な手法は遺体の解剖を待つ必要があるとした。
女2人はタクシーに乗って逃走したが、行方はわかっていない。国情院は依然、2人がマレーシア内にとどまっている可能性があるとの見方を示した。
2011年12月の金総書記死去後、正男氏の立場は急速に悪化。異母弟の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の指示によって殺害される可能性があるとの指摘が韓国内で出ていた。殺害の動機について、国情院は「金正男氏の暗殺は、金正恩政権樹立後、必ず処理すべき命令だった」と説明。12年ごろから、暗殺の動きが具体化したという。
韓国政府は、正男氏が「白頭山血統」と呼ばれる北朝鮮指導者の家系である以上、正恩氏の指示や許可なしに正男氏を殺害することはできないとみている。
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