【監利、上海=共同】中国湖北省荊州市監利県の長江(揚子江)で起きた456人乗りの客船「東方之星」の転覆事故で、国営通信、新華社は6日、同日朝までに331人の死亡が確認されたと伝えた。捜索当局は5日夜から6日にかけて軍兵士ら約1600人を投入、引き揚げた船内の大規模捜索を徹夜で続け、多くの遺体を収容した。
水中から引き揚げられ、捜索活動が続く客船(6日、中国湖北省・長江)=共同
依然として111人が行方不明で、生存は絶望視されている。生存者は2日までに救助された14人にとどまっている。
家族らは情報不足や抗議活動の封じ込めなど、当局の対応に不満を募らせており、犠牲者数の急増を受け反発を強めそうだ。
捜索当局は5日午後、クレーンで客船を引き揚げて水を抜き、国営中央テレビによると、同日午後9時(日本時間同10時)すぎから白い防護服などを着た兵士らが大規模捜索を開始。客船周辺の水中で潜水士による捜索も行われたという。
同テレビによると、屋根の一部が崩壊するなど損傷が激しい4階部分と、地下階での作業が難航。一部客室のドアは内側から鍵が掛けられており、壊して入らなければならなかったという。
当局は現場の下流にネットを設置し、遺体の流失を防止。乗客の遺留品も捜した。
監利県には、乗客の家族ら1400人以上が駆け付けており、5日には一部が立ち入り禁止区域近くの道路で抗議の座り込みなどを行った。
新華社電によると、客船が所属する汽船会社のトップは5日、犠牲者と遺族に謝罪した。