内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比0.3ポイント低下の53.3と6カ月ぶりに悪化した。円安による原材料費の増加を価格転嫁できない企業があるなど、企業部門の動きが鈍化した。一方で、家計部門は夏のボーナス増加への期待などから改善しており、現状判断指数は好況の判断の目安となる50を4カ月連続で上回った。
「原材料や包装資材の値上げが止まらず、売上高は前年並みだが、利益が減った」(南関東の食料品製造業)との指摘があった。一方で「株高で富裕層による貴金属などの高級品の購入数が増えたほか、外国人旅行者の増加で化粧品の販売額が増え、全体の売上高が伸びた」(南関東の百貨店)との声もある。
内閣府は街角景気の基調判断を前月の「緩やかな回復基調が続いている」に2カ月連続で据え置いた。先行きについては「物価上昇への懸念などがみられるものの、夏のボーナス及び賃上げ、外国人観光需要への期待などがみられる」との認識を示した。
一方、2~3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比0.3ポイント上昇の54.5と6カ月連続で改善した。指数は5カ月連続で50以上となり、13年12月(54.7)以来の高水準だった。「夏のボーナスが前年を上回ることや株高を背景とした資産効果もあり、インバウンド需要も引き続き見込まれ、好調が続く」(東海の百貨店)といった声が聞かれた。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象で、有効回答率は90.1%。3カ月前と比べた現状や2~3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。〔日経QUICKニュース(NQN)〕