【ブリュッセル=森本学】北大西洋条約機構(NATO)は24日、ブリュッセルの本部で国防相理事会を開いた。ウクライナ東部の戦闘などを巡って緊張関係が高まっているロシアに対抗する態勢を強化するため、緊急時に展開させる即応部隊の人員を最大4万人に増強することを決めた。現在の人員から2倍以上の拡大となる。
即応部隊のうち、最短2日で5千人規模の兵力を展開する緊急即応部隊に、地上部隊だけでなく、空・海軍や特殊部隊を参加させることや、有事の際に迅速に意思決定できるように最高司令官の権限拡大も決めた。理事会後に記者会見したストルテンベルグ事務総長は「安全保障環境の変化にNATOを適応させるためだ」と説明した。
即応体制の強化は、ウクライナ危機の際に、大規模な兵力を短期間で展開させたロシアに対する危機感が背景にある。ロシアのプーチン大統領が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の追加配備方針を示したことについて事務総長は「新たな軍拡競争は望まない」と強調。「核兵器に関する活動を含め、ロシアの動きの影響を注意深く見極める」と語った。