政府は7日午前の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)で、火山や土砂災害の対策強化を中心に国の防災基本計画を修正した。昨年の御嶽山(長野・岐阜県)噴火や広島市の大規模土砂災害の教訓を踏まえ、自治体に退避壕(ごう)の整備や早期の自主避難を促す。原子力発電所事故と地震などが重なる「複合災害」を想定、国の対策本部が担う役割も明記した。
安倍首相は会議の冒頭、「国民の生命、財産を守るため、引き続き緊張感を持って防災対策に万全を期す」と述べた。
計画の修正は今年3月以来。火山災害への懸念の高まりや、相次ぐ集中豪雨被害を受け、内閣府などが打ち出した見直し策を反映した。
火山対策では、退避壕の充実が柱の一つ。総務省消防庁などが整備を進め、火山の地元自治体が必要性を検討するよう求めた。火山監視の強化や研究者の育成も掲げた。
土砂災害で重視したのは「住民の自主的な避難」。避難指示・勧告の前に自治体が避難準備情報を使って早めの避難を促すよう修正した。広島市の災害での避難勧告の遅れなどを踏まえ、自治体に崖崩れや土石流が起こる恐れが高い区域に絞って避難勧告を発令するよう求めた。
複合災害の見直し策では、全体を取りまとめる「緊急災害対策本部」と原発事故対応を担う「原子力災害対策本部」の役割分担を示した。
緊急対策本部は物資の輸送など被災者支援を一元的に実施し、原子力対策本部は放射線の防護について助言や支援を担う。東京電力福島第1原発事故で2つの対策本部の連携が不足した反省をもとに、合同会議の開催なども盛り込んだ。
このほか、災害時に現場で活動する警察、消防、自衛隊が「合同調整所」を設けて情報調整を進めることも明記した。