東芝の室町正志会長兼社長は14日の記者会見で白物家電など赤字事業の構造改革を加速する意向を表明した。「白物家電の海外製造拠点は集約が必要だ」と述べ、インドネシアや中国にある工場を統廃合する方針。今月末の新体制発足後、パソコンやテレビも含めた事業見直しの議論を急ぐ。10月下旬にも開く4~9月期の決算発表の場で具体策を打ち出したい考えだ。
決算発表する東芝の室町社長(14日午後、東京都港区)
東芝は白物家電の9割を中国やインドネシア、タイにある海外工場で生産している。足元の円安を受けて日本国内に輸入販売する冷蔵庫や洗濯機などの採算が悪化している。室町社長は為替の影響だけでなく「製品の競争力に問題がある。新製品投入も他社に比べて遅れている」と認めた。
白物家電やパソコン、テレビの国内事業について「是々非々で判断したい。撤退の可能性もある」とした。これまでは「制約のない構造改革」と説明するだけで具体的な言及は避けており、踏み込んだ発言だ。パソコン事業はノート型を世界で初めて投入し、一時は世界市場を席巻したが、近年は台湾や中国のメーカーに価格競争力で劣り、シェアを落としていた。
東芝は30日の臨時株主総会後に新体制を発足させる。長年にわたる不適切な会計処理による見せかけの好業績の結果、構造改革が遅れていた。しがらみのない立場の社外取締役を中心に各事業を抜本的に見直す。室町氏は10月末~11月初旬に開く4~9月期決算で「ある程度は開示したい」とした。
室町社長はこの日も「できるだけ早く後進に道を譲りたい」と危機的な状況を乗り越えた時点で退任する意向を示した。「成長の種をつくるが、それを大きく花開かせるのは後進の役割だ」と話した。