【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は14日、欧州に押し寄せる難民や移民への対応策を協議するため、臨時の内務・法務相理事会をブリュッセルで開いた。難民16万人を分担して受け入れるよう義務付けることを求めた欧州委員会の提案での合意を目指す。東欧諸国は受け入れ義務化に反発しており、議論は難航が必至だ。
ブリュッセルで14日開かれた欧州連合の内務・法務相理事会に集まった各国の閣僚ら=AP
AFP通信などによるとハンガリーには14日、1日当たりで過去最多となる5809人の難民らが入国した。ハンガリー政府は15日から不法入国者を逮捕する方針を打ち出しており、その前に入国しようとする難民が急増した。
ドイツが13日に難民流入を一時的に制限するため、周辺国との国境検問を導入すると発表したのに続き、14日はオーストリアやスロバキアも追随を表明。ポーランドも導入の用意があると宣言し、難民の入国管理を強める動きも広がった。
理事会が協議する受け入れ分担の対象となる難民はギリシャ、ハンガリー、イタリアに到着するシリア人ら。EUは6月の首脳会議で、4万人の難民受け入れで合意した。しかし当初目指していた分担の義務化は断念し、自主的な受け入れに転じた。これまでの各国の申し出は計約3万2千人にとどまる。
ただ夏以降、難民の流入が拡大し、死者も相次ぐなか、EUの対応強化を求める声が強まっている。ユンケル欧州委員長は9日、分担する受け入れ数を4倍の計16万人へ引き上げ、分担を義務付ける提案をした。
14日の理事会では、まず4万人の難民受け入れを約束通り実行することを正式決定した。残りの12万人を巡っても分担の合意を目指すが、東欧諸国などが反対姿勢を崩していない。EUのトゥスク大統領は14日に欧州委提案の合意にこぎつけられなければ、緊急のEU首脳会議を9月中に開く考えだ。