戦後のシベリア抑留や戦地などからの引き揚げに関する資料約1万2千点を収蔵している舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市)が28日、リニューアルオープンした。
舞鶴市は1945年10月7日から58年9月まで、シベリアなど海外からの引き揚げ者約66万人を受け入れた。同館は88年に引き揚げ者らから資料提供や建設費の寄付を受け開館した。
引き揚げ開始から70年を迎えることもあり「次世代への記憶の継承」をテーマに全面改修した。子供たちに引き揚げの歴史を分かりやすく伝えるタッチパネルやモニターを設け、語り部や学芸員が説明できるセミナールームを増設した。
抑留中に日々の生活や思いを樹皮につづった「白樺日誌」や「岸壁の母」として知られる端野いせさんのはがきなど約1500点の資料を展示する。
市は同館が収蔵するシベリア抑留の資料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)記憶遺産に登録申請しており、10月4~6日の諮問委員会の会議で登録の可否が決まる。
28日の式典で舞鶴市の多々見良三市長は「戦争も引き揚げも過去のものにしてはならない」とあいさつ。シベリア抑留体験者で同館で語り部を続ける原田二郎さん(90)は「感慨無量です。見違えるように立派になりました」と喜んだ。〔共同〕