【ニューヨーク=山下晃】9日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が前日比33ドル高と小幅に6日続伸した。週間では612ドル高で、およそ8カ月ぶりの上げ幅となった。世界経済の不透明感や米雇用の伸び悩みから米連邦準備理事会(FRB)の利上げが先送りになり、緩和的な金融政策が当面続くとの見方が出て株式への買いを誘っている。
9日のダウ平均の終値は前日比33ドル74セント(0.2%)高い1万7084ドル49セントだった。アジアや欧州各国の株高も追い風となり、およそ1カ月半ぶりの高値をつけた。人民元切り下げをきっかけとした8月の「チャイナ・ショック」による下げ幅のおよそ7割を取り戻した。
9月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回って以降、FRBが年内にも実施すると見込まれていた利上げの先送り観測が広がっている。8日公表された9月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨でも世界経済への慎重な見方が示され、利上げ警戒感の後退につながった。
ただ、米景気の拡大ペースが鈍れば中長期的には株式相場にも逆風となる。「(最近の株高の背景には)高水準だった空売りポジションの巻き戻しもある。足元の相場の戻りは少し急だ」(米ヘッジファンド)と警戒する声も出ている。
米原油先物相場も9日は上昇した。指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート、期近物)は朝方に1バレル50.92ドルと、約2カ月半ぶりの高値をつける場面があった。中東情勢の緊迫化が相場を支えたほか、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した週間の油田の掘削設備(リグ)の稼働数が6週続けて減り、原油の供給過剰への警戒感が和らいだことも相場上昇につながった。