【ドバイ=久門武史】イラク軍は11日、同国中西部アンバル州で過激派組織「イスラム国」(IS)のバグダディ指導者の車列を空爆したとの声明を発表した。バグダディ指導者の生死について声明は「不明」だとしているが、「車で搬送された」とも指摘した。イラクの一部メディアは、空爆でバグダディ指導者が重傷を負ったと伝えた。
バグダディ指導者=AP
仮にバグダディ指導者を失えば、ISにとっては大きな打撃となるのが確実だ。米軍などはこの情報を確認していない。
11日のロイター通信は病院関係者や住民の話として、ISの複数の幹部が空爆で殺害されたが、この中にバグダディ指導者はいないと報じた。
声明によると、イラク軍はアンバル州のシリア国境近くで、IS指揮官との会合に向かう車列に空爆を加えた。「会合場所も空爆し、多くの幹部が死傷した」という。
バグダディ指導者を巡っては英紙が4月、米軍主導の空爆で3月に重傷を負ったと報道。ISは5月に、バグダディ指導者の音声とする声明をインターネット上に公開していた。
バグダディ指導者は2010年、ISの前身組織である「イラク・イスラム国」の指導者に就いた。14年6月にはイスラム教の預言者ムハンマドの後継者「カリフ」を自称しISの樹立を宣言。指導者として世界中のイスラム教徒にISに加わるよう呼び掛けた。
米軍などの有志連合は14年からISへの空爆を続けている。15年9月末にロシアがシリアのアサド政権支援のため同国領内に独自の攻撃を始めた。ISが対象だとしている。だがISはなおイラクとシリアの広い範囲で勢力を維持している。