【ニューヨーク=中西豊紀】米自動車市場の拡大が続いている。10月の米新車販売台数は前年同月比13.6%増の145万5516台となり、同月としては2001年以来14年ぶりの高水準となった。トヨタ自動車が10月の過去最高を記録するなど日本勢は好調だった。排ガス不正問題の影響で独フォルクスワーゲン(VW)は0.2%の微増にとどまった。
営業日1日当たりの販売台数を季節調整して年率換算した数字は1824万台で、前月に続いての1800万台に乗せた。年率換算でみると05年7月以来の高い数字が続く。けん引役はピックアップトラックや多目的スポーツ車(SUV)など大型車で、これらの車を含む「小型トラック」は21.9%増えた。「乗用車」は4.1%増えた。
米国でシェア首位のゼネラル・モーターズ(GM)は15.9%増。3位のトヨタは13%増えた。トヨタが10月に20万台超を売ったのは今年が初めてという。日系メーカーはホンダを除きすべてのメーカーが2桁増。
米調査会社のケリー・ブルー・ブックによると10月の新車の平均販売単価は3万4023ドルとなり、前年同月比で1.4%上昇した。価格も高く利幅が厚い大型車の販売が増えているためで、各社とも中国や南米など新興国での収益落ち込みを米国で補っている。
一方でVWは不振が続く。ディーゼル車の不正があった「ジェッタ」などで販売減が大きい。高級車のアウディ部門は16.8%増と堅調だったが、米環境保護局(EPA)が2日に同ブランドでの不正を公表しており、11月以降は販売減が予想される。
逆風下でもVWは年末に「パサート」の16年モデルをテネシー州の米国工場で生産し、販売する。米国工場を増強し、16年末からSUVの生産を始める計画も当初の予定通り実行に移すという。