【バレッタ=森本学】欧州連合(EU)は11日、アフリカから地中海を渡って欧州入りを目指す移民や難民らの流入を抑制するため、マルタの首都バレッタでアフリカ諸国と首脳会議を開いた。貧困や紛争、政情不安など多数の難民らを生む根本原因の解消に向けた「行動計画」を策定し、アフリカ支援基金の創設を正式決定する方針だ。
会議の冒頭で、EUのトゥスク大統領は「(難民危機という)難題により良く対応するためにはアフリカ諸国の協力が必要だ。我々には互いに協力しあう以外の選択肢はない」と強調。難民・移民問題を巡る協力拡大を求めた。
会議には欧州とアフリカ諸国あわせて70カ国弱の首脳らが参加。12日までの日程で開く。欧州の難民危機を巡っては、足元では急増するシリア難民らへの対応に焦点が集まる。加えて、アフリカから欧州を目指す難民への対応も課題となっており、4月には地中海で移民らを乗せた密航船が転覆し、800人以上が死亡している。
EUは教育や雇用創出の後押しや、密航業者の取り締まり強化への協力を拡大する一方、アフリカ側に国際的に保護が必要な「難民」でないと判定された「非正規移民」の送還の受け入れ態勢の整備を求める方針だ。だが、非正規移民の送還を進めたいEUと、欧州によるアフリカからの移民受け入れ拡大を求めるアフリカ諸国の間には温度差もある。