日銀は13日、異次元緩和で膨らんだ国債の利息収入を引当金として積み立てられるようにする制度改正の検討を麻生太郎財務相に要請した。異次元緩和からの出口をにらみ、将来の金利上昇で利払い費がかさんだ時に速やかに取り崩せるようにする。新たな引き当ての規模は年数千億円に上るとみられ、その分当面は国庫への納付金は減る可能性がある。
財務省は日銀法の政省令を今年度中に改正する方針。日銀は新たな引当金制度を2015年度決算から活用する見通しだ。日銀によると、国債を大量に買う量的緩和政策を導入してきた米欧の中央銀行も同様の仕組みを既に設けているという。
日銀には財務の健全性を保つため、利益の一部を積み立てる準備金や引当金がある。準備金は決算が赤字にならないと取り崩せないが、引当金は収益が下振れした時に機動的に取り崩せる。
債券の含み益を将来の売却損に備えて引き当てたり、円安で生じた為替差益を将来の円高に備えて引き当てたりする制度は既にある。今回は国債の利息収入の50%程度を積み立て、将来の金利上昇時に備える。短期金利が上昇すると、金融機関が日銀に預ける当座預金の利払い費がかさむ。こうした際に取り崩すことで損失拡大を抑えて、赤字転落を防ぐ。
日銀は14年度、1兆90億円の利益をあげ、7567億円を国庫に納付した。今回の制度変更によって、国庫に納める金額は数千億円規模で減る可能性がある。