四国電力の佐伯勇人社長は26日の記者会見で、2016年4月の電力小売り全面自由化に合わせ、ライフスタイルに合わせた新たな料金メニューや、商品券などと交換できるポイントサービスを導入する方針を明らかにした。東日本大震災以降、自粛してきたテレビCMも再開。新規参入組などとの競争を控え、詳細を詰めて顧客の囲い込みを急ぐ。
新料金メニューは、朝ゆっくり型や週末にまとめて家事型など、生活や仕事時間に合わせやすいプランを用意。家庭向けに夜間の割安料金を通常より2時間長い午前9時まで拡充したり、平日より土日を割安料金にしたりする。年間を通じ電気使用が多い事務所や商店向けには、夏(7~9月)以外を割安にするプランを設けた。
今年3月から始めたWeb会員サービス「よんでんコンシェルジュ」は、会員が1万1400人にとどまる。会員登録時や電気使用量の確認時にポイントを付与し、四国の特産品や他社ポイントへの交換を可能にするなどして、会員を10万人(17年3月末)まで増やす計画だ。ポイントの提携先は検討中という。
年明け以降、新規参入業者らの料金メニューの表明が見込まれる。そうした動向を踏まえながら「単価など詳細なプランは1月をメドにお知らせする」(佐伯社長)としている。
公益性の高い内容に限っていたテレビCMも、今月27日から再開。新聞など他媒体も活用し、料金メニューやサービスの認知度を高めていく。四国以外の他地域への小売り参入については、佐伯社長は「一定の供給を継続的に行い、納得してもらえる料金水準も精査しないといけない」と慎重な見方を示した。
電力小売り全面自由化を巡っては、東京電力はLPガス大手の日本瓦斯やソフトバンクなどとセット販売で協力し域内外を開拓する。中部電力はポイント交換でNTTドコモや名古屋鉄道と協力、関西電力は大口の家庭に絞って値下げする方向だ。
四国電は小売り自由化や電力会社に送配電部門の分社化を迫る「送配電分離」を見据え、お客さま本部にあった配電部を電力輸送本部に移管する16年3月1日付の組織変更も26日発表した。
伊方原子力発電所3号機の再稼働時期については、佐伯社長は「国の審査が続いており、見通せる状況にない」と改めて説明。一方、11月末に完了予定だった竜巻対策の工事が計画作りの遅れが響き、年明けにずれ込むとの見通しを示した。