教科書を発行する三省堂(東京)が小中学校の校長らに検定中の教科書を見せて謝礼を渡していた問題で、同社が2009年以降に7回開いた会合に計53人が参加していたことが4日、関係者への取材で分かった。文部科学省は今後、全国の教育委員会などを通し、参加した校長らが教科書採択に関わっていなかったかを調べる方針。
三省堂はこうした経緯をまとめた最終報告書を7日に文科省に提出する。
関係者によると、校長らに意見を聞く「編集会議」は、09年に2回、10年に4回、14年に1回開かれ、都府県の校長らが参加した。
三省堂は編集会議で校長らに、小学校の国語や、中学校の国語と英語の検定中の教科書を見せていた。意見を聞いた謝礼として「編集費」を渡したほか、交通費や懇親会代なども負担した。
14年8月の会議には11府県の公立小中学校の校長ら11人が参加。1人当たり現金5万円の謝礼が支払われ、うち5人はその後、地元で教科書採択に関わる立場になったことが分かっている。
文科省は10月の問題発覚後、採択の公正性に疑念を生じさせたとして、三省堂を文書で厳重注意している。