【ワシントン=川合智之】訪米中のインドのパリカル国防相は10日、イスラム教徒の米国入国禁止を呼びかけた米大統領選の共和党候補、不動産王ドナルド・トランプ氏(69)の発言に「インドでは誰もが平等だ」と述べ、批判した。カーター米国防長官と会談した後の共同記者会見で語った。
パリカル氏は「米国内の議論にはコメントしない」としたうえで「(印は)イスラム教徒が世界で2番目に多いが、うまく混じり合っている」と指摘した。「全ての人は等しい機会や権利を持つ」とイスラム教徒への敵視政策を批判。「(イスラム教徒と)過激主義者とは別の問題だ」と述べ、テロ対策は異なる方法で実行すべきだとの考えを示した。
トランプ氏の発言は外国首脳からも批判が出ている。イスラエル首相府は9日の声明で「ネタニヤフ首相はイスラム教徒に対するトランプ氏の最近の発言を拒絶する」と表明した。トランプ氏は12月末に予定していたイスラエル訪問を延期した。
一方、ブルームバーグが8日実施した世論調査では、共和支持者の65%がトランプ氏の発言を支持し、反対は22%にとどまった。トランプ氏は米CNNテレビのインタビューで「私は差別主義者ではない」と釈明したが「世論は私の言うことに同意している」とした。共和が候補者として扱わなければ無所属で出馬することも示唆し、共和指導部をけん制した。