2013年9月にJR函館線大沼駅で起きた貨物列車脱線事故をめぐるレール検査数値の改ざん事件で、JR北海道本社工務部の幹部ら数人が、現場付近のレールのずれが最大約70ミリに達し、整備基準値(19ミリ)を大きく超えていたのを認識しながら虚偽報告を黙認した疑いがあることが18日、捜査関係者への取材で分かった。
北海道警は22日にも、この数人を含む社員ら20人前後と法人としての同社を、鉄道事業法違反や運輸安全委員会設置法違反の疑いで書類送検する。脱線事故についても、業務上過失往来危険容疑で現場の保線担当者を書類送検する。
捜査関係者によると、工務部幹部らが認識していたとされるのは、レールの横方向へのずれを示す「通り変位」と呼ばれるデータ。事故後に本社工務部に提出された約3カ月前の検査結果では、現場付近のレールは最大70ミリ程度ずれていた。
本社工務部は現場の大沼保線管理室に「おかしい」と指摘。現場の担当者がデータを書き換えて送り直し、本社工務部を通じて国土交通省と運輸安全委員会に実際より小さく改ざんされた数値が報告された。道警は本社側が事実と異なると知りながら、報告を黙認したとみている。
運輸安全委員会の報告書は、最大70ミリのレールのずれにより現場付近のカーブがきつくなり、列車走行時にレール幅が広がりやすくなっていたことが貨物列車脱線につながったとしている。〔共同〕