十分な安全確認をせずに大型重機を運転し、近くにいた作業員(当時56)を死亡させたとして、奈良県警が、奈良市南庄町のリサイクル会社「I・T・O」の男性従業員(56)を業務上過失致死容疑で奈良地検に1日に書類送検したことが、捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、従業員は昨年8月20日、土砂などを運搬する重機ショベルローダーを安全確認をせず漫然と後退させ、業務上必要な注意を怠り、作業員を駐車中のトラックとの間に挟み、死亡させた疑いがある。奈良労働基準監督署は昨年10月、従業員に運転資格がなかったとして、同社と生産管理課長を労働安全衛生法違反容疑で書類送検していた。
同社をめぐっては、2011年以降、少なくとも社員ら4人が作業中に死亡する事故が発生。奈良市の工場で破砕機に巻き込まれて死亡した男性社員(当時33)の遺族が訴えた損害賠償請求訴訟=大阪高裁で和解=では、奈良地裁が「安全マニュアルの配布や安全教育もなかった」と判決で指摘した。その後も事故が相次ぎ、原告側の弁護士は「教訓はなかったのか」と話している。