【バンコク=小野由香子】タイで15日から続いていた携帯電話の第4世代(4G)サービス向け電波の入札が19日、終了した。通信各社の電波不足を背景に落札額が高騰。11月の第1回入札分と合わせると2330億バーツ(約7800億円)の収入が国庫に入ることになった。電波コストが膨らみ、落札企業の採算性を危ぶむ声も出ている。
900メガヘルツ帯の周波数2枠(各10メガヘルツ)を巡って4社が丸4日間、争奪戦を繰り広げた。落札したのは携帯サービス3位のトゥルー・コーポレーションと新規参入となるジャスミン・インターナショナル。落札額は1枠あたり約760億バーツで入札開始時の5倍以上だった。
1メガヘルツの人口1人当たりの金額は、2011年の香港の競売での落札額に次ぐ世界2番目の高さという。タイ政府に入る「臨時収入」2330億バーツは、2014年会計年度(13年10月~14年9月)にタイ政府が徴収した個人所得税の総額の約8割に匹敵する。
主催する国家放送通信委員会(NBTC)が事前に決めた入札制度では、札を入れるのは20分置きで価格は数%刻みでしか上げられない。そのため牛歩の入札が続き、異例の長期戦となった。