国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は29日、2015年に報道に関連して殺害された記者が110人に上ると発表した。フランスの風刺週刊紙襲撃事件で記者8人が命を落とすなど、昨年に比べ紛争地以外での死者が増加。RSFのドロワール事務局長は「記者を保護するための国際法整備が急務だ」として、国連事務総長特別代表の設置などを訴えている。
殺害された人数が最も多かったのは、過激派組織「イスラム国」(IS)が活動するイラクの11人。1月に日本人ジャーナリスト後藤健二さんの殺害映像がISによって公開されたシリアが10人で続いた。同月発生した風刺週刊紙シャルリエブド本社襲撃事件で記者8人が犠牲となったフランスが、3番目に多かった。
RSFによると、2014年に殺害された記者のうち3分の2は紛争地で死亡。一方、15年は非紛争地での犠牲者が3分の2を占める正反対の結果となった。
15年末時点で武装組織などの人質となっている記者は54人で、このうち半数近い26人がシリア国内。政府などの拘束下に置かれている記者は153人で、中国の23人が最も多かった。(時事)