一般的に、ぜいたく品がぜいたくとされる理由は、その希少性にあるといえる。しかし思いもよらないことに、最近のぜいたく品は「爆発的に売れている」からこそたびたび注目を集め、年の初めに最も「元気はつらつ」な業界になった。中国新聞網が伝えた。
少し前に、「北京で最もリッチな商業施設」とされるショッピングモールの北京SKPは、2020年度の売上高は177億元(1元は約16.4円)に上り、10年連続で中国の「商業施設の王様」になり、英国の老舗百貨店のハロッズを初めて抜き、「世界の商業施設の王様」になった。
21年の春節(旧正月、今年は2月12日)にも、北京SKPは「王様」の勢いを改めて示した。大手SNSでは、大勢のネットユーザーが自分の目撃したSKPが押すな押すなの大盛況で長い行列ができた様子を共有した。北京のSKP、中国国際貿易センター、三里屯太古里北区など複数の商業施設の責任者はメディアの取材に対し、春節長期連休の売り上げデータはまだ統計作業が終わっていないが、「過去最高を更新したことは間違いないだろう」と述べた。
もちろん、北京だけが大盛況だったわけではない。この連休には、全国の大都市のぜいたく品販売店は、申し合わせたようにどこも長い行列ができた。
海南省商務庁が発表したデータでは、海南離島免税店では2月11-17日の売上高が15億元を超え、このうち免税販売額は約14億元だった。上海市商務委員会が今月17日に明かしたところでは、春節連休期間に上海港匯恒隆広場などのぜいたく品を扱うショッピングセンターの売上高は前年同期の6倍以上増加した。
減少どころか増加 ぜいたく品消費が流れに逆らって上昇
世界的な戦略コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーが発表した報告書「2020年中国ぜいたく品市場:勢いは止められない」のデータによると、「2020年のグローバルぜいたく品市場は23%減少したとみられるが、中国国内のぜいたく品市場は流れに逆らって前年比48%増加して、3460億元に達した。世界で消費が冷え込む中、中国の動きはとりわけ目を引いた」という。
北京SKPで働く販売員の李佳さん(仮名)は今年注目を集めたぜいたく品カウンターの大行列現象について、「実は理解できないことではない」という。
李さんは、「みなさんが今年の春節で感じたように、大手商業施設はどこも連日大入り満員で、お客様が非常に多かった。私たちぜいたく品店には特殊な規定があり、ハイエンドサービスならではの特別感を保証するため、必ずお客様に1対1でサービスしなければならない。これに新型コロナウイルス感染症により店に入れる人数が制限されたこと、店側の受け入れ能力に限界があることも加わって、店外にできた行列が自ずと長くなっていった」と説明した。
95後(1995年から1999年生まれ)の消費者の陳夢さんは、「ぜいたく品を日用品として使用するお金持ちが元々多い上に、1年にぜいたく品を1個か2個、または数個だけ購入するという人がたくさんいて、合わせると相当な人数になる。一方で、ぜいたく品の店舗は非常に少なく、人口数千万の都市と周辺地域の人々が、春節連休に連日、数百人規模、数千人規模でぜいたく品の店を訪れたのはごく当たり前のことだ」と話した。
李さんは、「ぜいたく品の売り上げが少しずつ増加していることに疑問の余地はない。昨年春に感染症が好転してから、ぜいたく品ビジネスはますます好調になり、店が暇になったことは一度もない。購買力の向上が原因の1つ、また感染症の影響を受けて、海外に買い物に出かけられなくなり、ぜいたく品消費の一部が中国国内に移ったという原因もある」と説明した。
また李さんは、「最近も大勢のお客様から、『今年の春節は海外旅行に出かけられないから、自分へのご褒美だと思って、旅行に使おうと思っていたお金でカバンを買うのも悪くない』といった声を聞く」と話した。
ベイン報告書も李さんの見方を裏書きし、「20年には中国人消費者のぜいたく品消費が世界に占める割合は3分の1を超えた。海外で感染症が爆発的に広がったり、ぶり返したりして、海外旅行には行けないため、中国人消費者のぜいたく品購入ニーズが中国国内に移り始めている」と伝えた。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年3月1日