麻生太郎財務相は4日召集された通常国会の財政演説で「今こそ、少子高齢化という構造的課題に取り組まなければならない」と表明した。安倍晋三政権が目指す一億総活躍社会の実現に向け「希望出生率1.8や介護離職ゼロに直結する政策に重点的に取り組む」と強調。約1.2兆円の緊急対策費などを盛り込んだ2015年度補正予算案の狙いを説明した。
財務相は国内景気について「デフレ不況から脱却しつつある」と指摘。景気が悪化するリスクにも対応しつつ、「強い経済の実現に向けた歩みを確固たるものにする」ためにも今回の緊急対策が必要との見方を示した。
15年10月に大筋合意した環太平洋経済連携協定(TPP)では「国民の不安を解消せねばならない」と言及した。一方、TPPの効果を国内経済の活性化や地方創生に「直結させる」という。
安倍内閣が先月に閣議決定した補正予算案の総額は約3.3兆円。一億総活躍社会を実現する緊急対策には子育てを支援するための保育所の整備や親の介護で会社員が離職するのを防ぐための介護施設の整備・人材育成といった政策を盛り込んだ。所得が少ない年金受給者には3万円を配る。
TPP関連の国内対策費は約3400億円。畜産の競争力強化に向けた基金の設立などを盛り込んだ。