木造復元関連予算案が名古屋市議会で継続審議となる見通しとなった名古屋城天守閣=9月2日、名古屋市中区、本社ヘリから、戸村登撮影
名古屋城天守閣の木造復元について、名古屋市議会経済水道委員会は11日、約10億円の関連予算案を継続審議とすることを賛成多数で決めた。12日の本会議でも継続審議となる見通しだ。河村たかし市長は11日、首長の権限で予算案を成立させる「専決処分」の検討に入ったことを記者団に示唆した。
継続審議の動議は最大会派の自民党が出し、民進党や、河村氏が代表を務める減税日本も賛成した。公明党と共産党は予算案に反対で、動議にも反対した。
予算案はもともと「2020年完成」を前提としていたが、河村氏が6日に「22年完成」の譲歩案を示し、委員会は意思決定を予定の7日から延期していた。だが、自民党内の賛否が分かれたままで、採決に至らなかった。
河村氏は11日午後、「4カ月弱、議決していただけない。行政が動かない」と記者団に語り、市議会の対応を批判した。専決処分については「常々いろいろ考えている。行政サービスが滞ってはいけない」と検討中であることを認めた。関係者によると河村氏は、行政訴訟で専決処分の違法性を認定された事例の研究など、妥当な専決処分をする検討を市当局と進めているという。
河村氏は11日、天守閣の耐震性の低さを理由に「入場制限せざるを得ない」と語った。優先交渉権者に選んだ竹中工務店について「不安定な地位にほうっておいてはいけない」とも述べた。議決の遅れによって復元事業が進まないと強調し、市議会側を牽制(けんせい)した。
復元関連予算案を市議会が継続審議とするのは、6月議会に続き2回目。市議会多数派と河村氏は6月に「26~27年完成」で合意したが、市側は9月議会でも予算案の取り下げや修正をせず、市議会側が反発していた。(嶋田圭一郎、安仁周)