2017年度予算案の枠組みが固まった
国の2017年度予算案の枠組みが固まった。一般会計の総額は97・5兆円程度となり、今年度の当初予算より7千億円強増え、5年連続で過去最大を更新する。高齢化で医療や介護などに使う社会保障費が増え続けているためだ。税収は足踏みする景気の影響を受けて約1千億円増の57・7兆円にとどまり、「借金頼み」の状況が続く。
歳出の3割超を占める社会保障費は、今年度より約5千億円増の32兆円台半ばを見込む。高齢化による伸びに加え、「1億総活躍社会の実現」のため、保育士の処遇改善などを実施することも影響した。
ミサイルの発射実験を繰り返す北朝鮮などを念頭に、防衛費は過去最大の5・1兆円程度とし、今年度より数百億円増やす。道路整備などの公共事業費も今年度の5・9兆円から数十億円の微増とし、5年連続で増えるなど、財政再建に向けた歳出削減の取り組みは進んでいない。
歳入では、新たな借金となる新規国債の発行額が34・4兆円程度となり、今年度当初よりわずかに減る。税収は、米大統領選後の株高と円安で企業業績が改善することを期待し、微増とした。ただ、今年度は法人税の落ち込みで税収見通しを下方修正し、約1・7兆円の赤字国債を追加発行する。景気の先行き次第では、新たな借金が増える可能性がある。
政府は22日に予算案を閣議決定する。(大津智義)