ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長(56)の記念祝賀行事が25日、素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」のある岐阜県飛騨市神岡町で行われた。
梶田さんは県民栄誉大賞と飛騨市名誉市民顕彰を受け、「地元の皆さんが温かく迎えてくれ、35年間研究ができた」と感謝を述べた。そのうえで「神岡での研究はまだまだ続く。この地で全力を尽くす」と語った。
会場の神岡町公民館には地元住民ら約400人が集まった。梶田さんは研究内容を紹介しながら、「我々の研究は実験・観測から出てくるデータが勝負。技術的なバックアップが不可欠で、日本の技術力があって実現した成果だ」と指摘した。
市民からの質問にも答えて、「2001年のスーパーカミオカンデの事故の際、心が折れかけた。(兄弟子の)故戸塚洋二先生が研究者の心をひとつにしてくれて立ち直れた」と振り返った。市民から「富山市ではなく神岡町に住んでほしい」と要望されて、「一部の研究者はなるべく神岡にも住むようにしたい」と苦笑する場面もあった。