【バーゼル=加藤貴行】スイス製薬大手のロシュが28日発表した2015年12月期決算は、純利益が前の期比5%減の88億6300万スイスフラン(約1兆380億円)だった。抗がん剤をはじめとする主力製品は伸びたが、スイスフラン高などで欧州と南米の収益が大きく目減りした。売上高は1%増の481億4500万スイスフラン。為替変動の影響を除けば純利益は4%増、売上高は5%増だった。
一時費用を反映しないコア営業利益は1%減の175億4200万スイスフラン。部門別は医療用医薬品が横ばい、診断は7%減となった。最大市場の米国は免疫診断などが伸びて収益を支えた。インフルエンザの流行がなく治療薬「タミフル」の売上高は約3割落ち込んだ。
16年12月期は売上高が最大で1桁台半ばの成長、1株利益は増収率を上回る伸びを見込む。セヴリン・シュヴァン最高経営責任者(CEO)は同日の記者会見で、「16年から3カ年で抗がん剤など8つの新薬を市販する見通し。主力製剤の特許切れに対応できる」と説明した。