【上海=小高航】仏自動車大手ルノーと中国の東風汽車集団(湖北省)は1日、同省武漢で年産15万台の合弁工場を稼働した。ルノーにとっては中国で初の完成車工場で、小型の多目的スポーツ車(SUV)を生産する。東風汽車はルノーが出資する日産自動車とも合弁工場を持っており、3社で部品の共同調達など連携を強める。
合弁会社、東風ルノー汽車が1日、新工場で開所式を開いた。ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は「中国はルノーの経営戦略の中核をになう」と述べ、新工場で生産する小型SUV「カジャール」を軸に中国市場で攻勢をかける姿勢を示した。
ルノーと東風汽車は2013年に折半出資で東風ルノーを設立。海外の主要メーカーはすでに中国で複数の生産拠点を構えており、ルノーは最後発となる。新工場の投資総額は約8億7千万ユーロ(約1100億円)。年産能力は30万台まで拡張可能で、販売動向を見ながら増強を検討する。新工場では電気自動車(EV)の生産も視野に入れる。
中国の15年の新車販売台数は2459万台と前年比4.7%増えた。世界最大の規模を誇るが、株価の下落や景気減速を背景に伸び率は3年ぶりの低水準だった。ルノーの中国販売は14年に輸入車を中心に3万台前後。若者を中心に人気を集めているSUVを投入することで、出遅れた中国市場で巻き返しを図る。
中国では東風汽車と合弁を組む日産が15年に125万台を販売するなどすでに部品調達や生産、販売面で基盤を築いている。ルノーは中国でも日産と部品の共同調達や物流などで協力を深める方針だ。