JETROが企画した盆栽商談会。トルコやハンガリーのバイヤーらが参加した=埼玉県本庄市
中高年のお金のかかる趣味。愛好家といえば「サザエさん」の波平さん――。国内ではとかくイメージが限定されがちな盆栽だが、海外では幅広い年代が地域ごとのスタイルで楽しんでいる。来年は28年ぶりに、世界盆栽大会が国内で開かれる。「BONSAI」熱を呼び込みたいと、関係者の期待は高まっている。
「音楽と同じで言葉が必要ない芸術。世界共通の『言語』です」。2月に東京都内であった世界大会のプレイベント「国際盆栽シンポジウム」で、パネリストで盆栽歴約30年のイタリア人、エドアルド・ロッシさん(55)は語った。
日本人がイタリアで開いた盆栽学校で8年学び、いまは10~80代の弟子約150人を教える。ローズマリーやオリーブなど地中海地方原産の樹木を使う作品も一般的だ。「育てる過程で自分の内面を磨くことを大事にしています」と言う。
若い愛好家の多い欧米では、剪定(せんてい)や培養方法をオンライン講座で学んだり、フェイスブックを使って交流したりと、情報化は日本より進む。とりわけ欧州では、ネット販売も広がりつつあるという。
盆栽が海外に広まったのは、東京五輪(1964年)と大阪万博(70年)での展示が契機といわれる。尽力したのが、盆栽園が約90年前から集まってできた、さいたま市の「大宮盆栽村」の盆栽師たち。各国から弟子入り希望者や訪問者を受け入れ、海外に赴き指導した。