公民館の駐車場に避難した人たち=15日午前0時51分、熊本県益城町、上田幸一撮影
被害が大きい熊本県益城町の惣領地区。記者が取材をしていた午後10時すぎ、街灯は消え、車の行き来がなければほとんど真っ暗の状態だった。歩道には大小の瓦が散らばる。古い瓦屋根の家屋は1階部分がつぶれ、屋根が地上に横たわる。プレハブの工場の壁が大きくゆがみ、ブロック塀は波打っている。
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この地区に住む村上恵美さん(40)は、震度7を記録した地震の発生時、娘1人と息子2人の3人の子どもたちと計4人で自宅にいた。「地面がぐるぐる回るように揺れた。5分ほどにも感じた」。家族は無事で、倒壊も免れたが、外に出ると向かいの家の1階がつぶれていた。
村上さんによると、ここには高齢の夫婦が住んでおり、近所の男性たち十数人が集まり、救出作業にあたった。呼びかけに対し、家の中から声が聞こえたようだった。やがて男性たちが2人を救出したという。
その後も、しばしば余震がこの地域を襲った。村上さんは、そのたびに子どもたちを抱き寄せ、励まし合った。
少し離れた地域では、強い余震が起こった際、近くの住宅が「バーン」と音を立てて崩れた。「もうだめだ。撤収だ」。住民のだれかが叫び、記者も現場を離れた。
熊本県などによると、益城町内では、あちこちで家屋が倒壊。ガス漏れも各地で発生し、火災が起こっている家屋もあるという。(小林舞子)