後半、CKから勝ち越しのヘディングシュートを決める大迫⑮=長島一浩撮影
(19日、日本2―1コロンビア サッカー・ワールドカップ)
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日本の試合運びを支えたのは、前回ブラジル大会の教訓だった。
早々に相手が退場者を出して数的優位に立った。4年前、同じく10人となった相手を崩せず0―0で引き分けたギリシャ戦が選手たちの頭をよぎる。当時もプレーしたFW大迫は思った。「パスをつなぐだけじゃダメだ」。仲間に言った。「ゴール前に球を入れてくれ」
ゴール前に入り込んでこそ、相手に怖さを与えられる。その意識が勝ち越し点に結びつく。
直前のプレー。右からのクロスにペナルティーエリア内で体を張ってキープする。踏ん張りに応えるように、DF酒井宏もゴール前へ走り込む。パスを受けて放ったシュートが相手に当たりCKに。決勝点につながった。
もう一つ生きた教訓がある。後半14分、相手が司令塔のMFロドリゲスを入れてきたときだ。大挙したコロンビアサポーターが盛り上がり、異様な雰囲気が漂った。4年前の初戦、コートジボワール戦をほうふつとさせた。当時はエースFWドログバを投入され、慌て、混乱し、逆転された。
この日は、動じなかった。中盤で動き回るロドリゲスを、近くにいる選手が対応。たとえ1人が抜かれても、すぐカバーする守備陣形を作り出した。MF原口は「彼の動きにそこまでのキレを感じなかった」。負傷を抱えるロドリゲスの状態を、見極める冷静さがあった。
ブラジルでの悔しさを、この一戦にぶつける――。オーストリアでの直前合宿から、3度目のW杯に臨む本田や岡崎が仲間に話し、議論した。あのときどうすれば良かったか、似た状況が来たら今度はどうするか。経験はチームに広がった。
前回大会の敗退後、悔し涙を流したDF長友が言った。「この4年、苦しいことも多かったけどみんなで戦えた。だから、神様がご褒美をくれたんじゃないかな」(藤木健)