16日未明の地震で震度6強が観測された熊本県南阿蘇村は17日、同日午前6時現在で村民ら男女8人と連絡が取れていないことを明らかにした。村は安否確認を進めている。一方、陸上自衛隊は同日朝から、村内の倒壊した家屋などに取り残された人がいないかを確認するため、約1千人態勢で捜索を始めた。
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熊本地震 災害時の生活情報
陸自によると、土砂崩れで通行できなくなった道の復旧作業もしているという。南阿蘇村によると、陸自のほか、警察、消防も捜索に当たっている。
同村の久木野庁舎では午前8時から災害対策本部の会議があり、村の幹部や消防、自衛隊関係者らが参加。捜索情報を共有するなどした。
南阿蘇村立野では、地震による土砂災害で被害を受けた集落で行方不明になっている女性の捜索が続いている。17日午前9時すぎから大阪府警の広域緊急援助隊が約100人態勢で女性の自宅周辺の捜索を開始。隊員たちが積もった土砂をかきだしたり、散乱した家財道具を片付けたりしながら、女性の行方を捜した。
宿泊客の男女2人が行方不明との情報がある南阿蘇村長野の「ログ山荘・火の鳥」でも17日午前9時45分すぎから、自衛隊や警察、地元の消防などが捜索をしている。一戸建てのコテージが並ぶ宿泊施設の裏山が幅数十メートルにわたって崩れ、大量の土砂がコテージを押しつぶした。現場には建材のほか、皿やグラス、ベッドなどが散乱。自衛隊員らは重機3台を用い、土砂やスギの丸木を撤去する作業を続けている。
裏山が崩れて4軒が土砂に埋まった南阿蘇村の高野台団地では、17日正午ごろから本格的な捜索が始まった。途中の道路が寸断され重機が運び込めず、約200人の捜索隊員らはスコップで土砂を掘り起こしたり、チェーンソーで民家の壁や柱を切ったりしていた。
熊本県益城町の町総合体育館では自衛隊の炊き出しがあり、17日午前中から多くの避難者の列ができた。陸上自衛隊第4特科連隊(福岡県久留米市)の隊員約20人が野外炊事車で炊いた米をおにぎりにして、「お待たせしました」と一人ひとりに声をかけながら手渡した。16日は午前6時~午後7時半で531食を配ったという。
一連の地震では、14日午後9時26分ごろに、熊本県を震源とするマグニチュード(M)6・5の「前震」が発生。同県益城町で震度7を記録し、同町や熊本市で9人が亡くなった。
さらに16日午前1時25分ごろ、M7・3の「本震」が起き、熊本市や南阿蘇村で震度6強を観測。同村では土砂崩れが起きるなどして被害が拡大した。14日以降の地震による犠牲者数は計41人、重傷者は計184人となっている。
余震も頻発しており、気象庁によると、14日の前震発生から16日午後11時までに、震度1以上の地震は347回観測されたという。