地震に備えできること
大規模な地震にどう備えるか。東京消防庁によると、新潟県中越地震など近年起きた七つの地震でけがをした人の原因は、約30~50%が家具類の転倒や落下だ。対策としては、タンスや本棚はL字形金具などで壁に直接ネジで固定する▽重い物は下に置く▽テレビや冷蔵庫はワイヤやベルト式器具を取り付ける▽キャスター付きの家具はロックして開き戸には留め金を付ける――などが有効だ。
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足元の活断層 災害大国 迫る危機
災害大国 あすへの備え
事前に家族で連絡手段や集合場所を話し合っておくことも大切。電話がつながらない場合は、NTTの災害用伝言ダイヤル「171」や携帯電話会社の「災害用伝言板」を使う。
自治体のハザードマップには避難場所や経路が記されている。都市部のコンビニやファミリーレストランは水や災害情報を提供する「帰宅支援ステーション」となる。場所を確認しておくと役に立つ。
近畿地方は6日ごろに梅雨入りし、高温多湿な日が多くなる。水道やガスなどが損傷した地域もあり、食中毒や脱水への注意も必要だ。
6~8月は細菌性食中毒が最も多い時期。日本食品衛生協会の飯田信行技術参与は「消費期限を守ることと加熱が重要」という。ガスが使えず電子レンジで調理する際は「均等に加熱するため、混ぜながら加熱するとよい」と指摘。断水時には、使い捨ての手袋や食器も予防に有効だ。
岩手医大病院感染症対策室の桜井滋室長は「大勢の人が集まる場所で広がりやすい感染症に注意が必要」と話す。食料を取りに行くなど短期間の滞在でも感染の恐れはある。最も効果的な対策は手洗いで、流水とせっけんでの手洗いが望ましい。水が十分に使えない場合は、アルコール消毒液がよい。「ウェットティッシュでは手のしわに汚れが残る可能性がある」と注意する。
高温で汗をかき、脱水症状を引き起こすリスクもある。済生会横浜市東部病院の谷口英喜・患者支援センター長は「家にいても水分は失われる。エアコンや扇風機で室内の温度や湿度を快適に保つことも大切」と話す。その上で「災害時でも2~3時間に1回は水分補給を心がけて。断水や避難所生活でトイレに行きたくないからと、水分を控えることはしないように」と呼びかける。(桑原紀彦)