インタビューに答えるパナマのバレラ大統領=19日午後、東京都千代田区、天田充佳撮影
来日中のパナマのバレラ大統領が19日、朝日新聞との単独会見に応じた。「パナマ文書」問題について、「先進各国が金融取引の透明化に協力して取り組むべきだというシグナルだ」と述べ、5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)での国際的な租税回避問題に対する議論進展を求めた。日本との租税情報の交換協定についても「締結に向けて取り組むことで合意した」と述べた。
特集:「パナマ文書」の衝撃
「パナマ文書」問題は、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部文書約1150万件を、朝日新聞も提携する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手。各国首脳らがタックスヘイブン(租税回避地)を利用して税逃れをしている実態を明るみに出した。
バレラ氏は「情報流出があった法律事務所はパナマにあったが、問題の性質はグローバルだ」と主張。過激派組織「イスラム国」(IS)への対応を例示した上で、「同じように、各国の連携が欠かせない問題だ」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)が主導する、各国間での金融口座情報の交換制度については「2018年までの参加」を表明。一方で、多国間での情報共有ではなく、あくまで二国間での情報交換を進めたいとの意向を示した。
14年7月に大統領に就任したバレラ氏は「政権を担って21カ月、透明性を高めるために取り組んできた」と強調。資金洗浄などを監視する国際組織「金融活動作業部会(FATF)」の高リスク国リストからパナマが今年削除されたことを実績に挙げた。さらに「責任ある国家として、我が国の金融システムが違法行為に使われないよう、取り組みを強める」と述べた。
バレラ氏は20日に安倍晋三首相と会談する。(石田博士)