避難指示が出され、自衛隊の車両で避難所から避難する住民たち=21日午前9時58分、熊本県南阿蘇村の立野地区、竹花徹朗撮影
地震による土砂災害などで14人が死亡し、2人の安否が分かっていない熊本県南阿蘇村は21日、強い雨に見舞われた。16日から続く安否不明者の捜索は21日未明に中断され、一部地域には新たに避難指示が出された。
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安否不明者1人の捜索現場となっている同村河陽の高野台地区。陸上自衛隊などは24時間態勢で捜索していたが、21日午前4時過ぎに雨で捜索は中断。地滑りの危険があるといい、再開の見通しはたっていない。陸自の広報担当者は「雨がやんでもすぐに再開できるわけではない。国土交通省などの調査結果を見て、判断することになる」と話した。
熊本地方気象台によると、21日朝に大雨警報(土砂災害)が出た南阿蘇村では、21日昼前から夕方にかけて1時間に最大50ミリの雨が予想され、「地震で地盤が緩んでおり、土砂災害に十分注意が必要だ」としている。
村はこの日までに、立野駅区など18地区に避難指示を出した。21日正午時点での対象は計約2千世帯、約4700人。消防団員は各世帯を回って避難を呼びかけている。
避難所として使われている旧立野小学校付近では土砂崩れの恐れが生じたため、村は約130人に隣の大津町の体育館へ移動するよう呼びかけた。避難者らは身の回りの荷物を慌ただしくまとめ、自家用車や警察車両などに乗り込んで数キロ先の体育館に向かった。
後藤ヒデ子さん(82)は「もう悲しいです」。旧立野小近くに一人で暮らしていた。これまでは避難後も歩いて自宅の様子を見に行くことができたが、「こんなに離れてしまい、知らない土地でこれからどうなってしまうのか……」と途方にくれていた。