長崎県対馬市の寺から韓国人窃盗団によって盗まれた仏像について、所有権を主張する韓国の寺が韓国政府に対し、引き渡しを求める訴訟を大田(テジョン)地裁に起こしたことが21日、明らかになった。盗まれた仏像は韓国で見つかり、大田にある韓国の国立文化財研究所で保管されている。
問題の仏像は、対馬市にある観音寺の長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」で、2012年に盗まれ、13年に韓国で窃盗団が検挙された。仏像も押収されたが、韓国の浮石(プソク)寺が日本の海賊「倭寇(わこう)」に略奪された可能性があるなどと主張。大田地裁が移転禁止の仮処分を決定していた。
日本政府は仏像の返還を韓国政府に求め続けてきた。韓国外交省幹部は「裁判所が国内の法律に従って決める問題で、政府は介入できない」と説明。早期返還はさらに難しくなった形だ。(ソウル=東岡徹)