倒壊した家屋の周辺では、重機を使ったがれき除去作業が行われていた=22日午前10時11分、熊本県益城町安永、西畑志朗撮影
一連の熊本地震による住宅の被害が熊本、大分両県で1万棟を超えることが、両県などの調べでわかった。使用不能の役場庁舎は熊本県の八代市、宇土市、人吉市、益城町の4自治体に上る。また、熊本県は22日、同県阿蘇市で災害関連死の疑いがある人が1人増え、県内で計11人になったと発表した。
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熊本県によると、県内の住宅被害は損壊の程度が判明している分だけで全壊1526棟、半壊1407棟、一部破損2338棟。被害分類が未確定な住宅を含めると計約1万100棟に上る。
地域別では全壊は益城町1026棟、西原村344棟、宇土市64棟、熊本市40棟、御船町と嘉島町が各15棟など。南阿蘇村も400~500棟が何らかの被害を受けたとみられる。
また、大分県が21日に発表した住宅被害は、大分県の別府市と由布市を除く8市町で31棟。別府市は少なくとも住宅87棟が被害を受けたと推定。由布市は住宅を中心に700棟以上の被害があるとみている。
損壊した本庁舎の閉鎖も相次いでいる。熊本県人吉市は22日、本庁舎に倒壊の危険性があるとして別の3施設に機能を分散することを明らかにした。益城町は本庁舎が使えず、宇土市役所は鉄筋コンクリート5階建て本庁舎の4階が押しつぶされ、崩壊寸前となっている。
学校も校舎が壊れたり、避難所になったりして休校が続いている。熊本市教委は市立の全小中学校、幼稚園など計148校を5月9日まで休校すると決めた。県教委も熊本、八代、水俣の3市と大津町の県立高校や特別支援学校の計20校を同日まで休校する。
熊本県によると、建物の損壊や土砂崩れなどによる死者は48人、安否不明者は2人。雨のため不明者2人の地上での捜索が中断している南阿蘇村では22日、総務省消防庁が現場を上空から調査し、その結果などを踏まえ、午後1時から捜索を再開した。
熊本県によると、新たに関連死の疑いが判明したのは阿蘇市の70代女性。16日未明の本震後、車中に避難していた。体調不良で病院に行き、同日正午ごろ死亡が確認された。
熊本地震で脱線した九州新幹線について、JR九州は22日午後1時ごろから、線路上に戻した脱線車両を熊本総合車両所へ移送する作業を始めた。同日中に全6両のうち1~3号車まで移送を終えたい考えだ。
ただ、地震により高架橋の柱の亀裂や防音壁の落下などの損傷が約150カ所見つかっており、全線でいつ運転を再開できるかは「現時点では分からない」(JR九州)としている。