放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は10日、熊本市在住の地方公務員だった男性が準強制わいせつ容疑で逮捕された事件を報じたテレビ熊本と熊本県民テレビのニュース番組などについて、「放送倫理上の問題がある」との見解を出した。
同委によると、男性は両局の2015年11月の番組で、意識がもうろうとしている知人の女性を自宅に連れ込んだり、同意なく女性の服を脱がせたりしたなど、認めていない容疑まで認めていると放送され、名誉を毀損(きそん)されたなどと主張していた。男性は後に不起訴となり、職場は懲戒免職処分となっている。
見解では、男性が申し立てていた人権侵害は認定しなかったが、「本件放送は、警察の明確とは言いがたい説明に依拠して、直接の逮捕容疑となっていない事実についてまで真実であるとの印象を与えるものであった」とした。男性が、フェイスブックの写真を無断で放送されてプライバシーなどを侵害されたとしていた点については「権利侵害が生じているとまではいえない」と判断した。