元気に登校する子どもたち=25日午前7時32分、熊本市北区の田底小学校、狩野浩平撮影
一連の地震の影響で、臨時休校していた熊本市内の全小中学校のうち小学校1校が25日、地震後に初めて再開され、子どもたちの歓声が戻った。一方で、県内で臨時休校した学校の大半はゴールデンウィーク(GW)明けの5月10日ごろの再開をめざしている。
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再開したのは熊本市北区の田底小学校(児童数113人)。最初に地震が起きた翌日の15日から休校していた。校舎や通学路の安全を確認し、学校に身を寄せていた避難者もほぼ帰宅したため、再開を決めた。
この日は112人が登校し、久しぶりに元気な声が教室や校庭に響いた。児童たちは午前8時前、校門前に立つ津田英樹校長(53)らに「おはようございます」と大きな声であいさつし、次々と笑顔で校門をくぐった。教室にランドセルを置くと、花の水やりやウサギへのえさやりをした。
6年生の宮田一輝さん(11)は「地震のせいで学校に行けなかったので、うれしい。家は大丈夫だったけど友達が心配だった。みんなと勉強して、昼休みにサッカーをして遊びたい」と話した。その後、授業中に地震が来たことを想定した訓練などをした。
同校では校門近くにある記念碑が倒れたが、大きな被害には至らなかった。津田校長は「まだ休校中の学校もある。全ての子どもたちが学校に戻れる日を願ってやみません」と話した。
熊本県と熊本市の教育委員会のまとめによると、25日現在、休校しているのは計350校・園(幼稚園22、小学校197、中学校90、全日制と定時制含む高校29、特別支援学校12)。このうちGW前の28日までに再開できる見込みなのは127校・園(幼稚園9、小学校69、中学校37、高校11、特別支援学校1)にとどまる。
各地の教育委員会は5月10日ごろの再開が目標と説明する。背景には一連の地震で校舎などが損傷して安全面の不安があることや、断水が続いていることなどがある。学校施設の多くが避難所になっており、避難者の動向によってはさらに遅れる可能性もある。
熊本県によると、25日午前9時現在、県内581カ所に5万3457人が避難している。地震による死者は48人、災害関連死の疑いは12人。同県宇土市はこの日、市内のグループホームに入所する男性(89)が18日に死亡したと発表。災害関連死の疑いという。
2人が安否不明の同県南阿蘇村では24時間態勢で捜索が続いている。