巨額債務を抱えるマレーシアの政府系ファンド「1MDB」は26日、同ファンドが発行した債券の一部について、約5千万ドル(約55億円)の利払いが期限内にできずに債務不履行になったと発表した。ただ、債務保証契約を結ぶアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンドが利払いを肩代わりする見通しで、投資家への実害はないとみられる。
1MDBは不動産開発などを手がける政府系ファンドで、2009年にナジブ首相主導で設立された。ただ、ずさんな経営で資金難に直面し、今年1月時点での負債額は500億リンギ(約1兆4千億円)に上る。さらに汚職や資金洗浄への関与も疑われている。
1MDBは「資金は潤沢だ」と信用不安の払拭(ふっしょく)に努める一方で、債券の利払い義務については昨年5月にUAEの政府系ファンド「国際石油投資会社(IPIC)」に引き継いだと主張。これに対し、IPICは1MDBに融資した約10億ドルが未返済だとして利払いを拒否していた。
ただ、IPICは1MDBと債務保証契約を結んでいる。債券の債務不履行で、結果的に利払いを負担することになりそうだ。(シンガポール=都留悦史)