大手会計事務所PwC(プライスウォーターハウスクーパース)のルクセンブルク法人が作成した企業の課税に関する文書を違法に持ち出したとして、窃盗の共犯などの罪に問われたフランス人の記者エドゥアール・ペラン被告ら3人に対する初公判が26日、ルクセンブルクの裁判所であった。早ければ5月4日にも結審する。
ほかの2人の被告は会計事務所の元監査役と元従業員で、窃盗や職務上の秘密保持違反などの罪で訴追されている。
AFP通信によると、PwC元監査役が2010年に退社する前に会計事務所から文書を盗み出し、ペラン被告に渡したとされる。ペラン被告は文書について12年にフランスのテレビで報じるなどした。
文書は、世界各国の340以上の企業がルクセンブルクの税務当局と個別に取り交わしたもので、国境を超える出資や融資にルクセンブルクの法人を介在させることで税額を抑える「租税回避」の方法が文書の多くに示されていた。
ペラン記者もメンバーの「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)は14年11月、これらの高度に複雑な租税回避の手口を世界で一斉に報じた。ICIJは今月から、各国首脳らのタックスヘイブン(租税回避地)への関与を暴いた「パナマ文書」の報道も続けている。
ペラン記者らの初公判を前に、ICIJは「報道の自由に対する侮辱だ」などと強く非難するコメントを出した。(ブリュッセル=吉田美智子)