北陸電力志賀原発1、2号機(2号機が左)=石川県志賀町、朝日新聞社ヘリから
原子力規制委員会は27日、北陸電力志賀(しか)原発1号機(石川県)の原子炉建屋直下の断層について、「活断層と解釈するのが合理的」とした有識者会合の報告を受理した。規制委は「重要な知見」として扱う。新規制基準は活断層の上に重要施設の設置を認めていない。北陸電は活断層でないと主張しているが、結論を覆せなければ1号機は廃炉を迫られる。
有識者会合は規制委の石渡明委員と活断層に詳しい外部専門家4人からなる。別の専門家の検証も踏まえて、「活断層の可能性は否定できない」とした昨夏の報告書案の表現を修正して結論をまとめた。活断層かどうかは、規制委が新基準に基づく審査の場で最終的に判断する。原子炉建屋直下の活断層の可能性を認める報告が受理されたのは、日本原子力発電敦賀2号機(福井県)に次いで2例目。
有識者会合で焦点になったのは、敷地内を通る8本の断層のうち3本。1号機の原子炉建屋直下の「S―1」断層は、建設時の詳細な地層のスケッチなどから活断層と解釈するのが合理的と判断した。1、2号機の冷却用配管など重要施設の直下を横切る「S―2」「S―6」も活断層の可能性を指摘した。1号機は結論を覆せなければ新基準に適合せず、再稼働できない。2号機も大規模な耐震工事などが必要となる。
北陸電は「事実誤認がある」などとして否定しており、すでに再稼働に向けた審査を申請している2号機の審査の場で争う考え。1号機も申請をめざすという。規制委は、敷地内のボーリング調査や周辺の断層の調査など追加データの提出を求め、最終的に判断する。(北林晃治)