ネットに入れた石炭灰の再生材が大阪湾に沈められた。CIFERの実験だ=1月26日、大阪府岸和田市
東京電力福島第一原発の事故が起きて以降、重みを増している火力発電。廃棄物の石炭灰を加工し、海中で使う実験が大阪湾で始まった。有毒な硫化水素などを吸着して水質を良くする効果を測定。さらに湾の底の巨大な穴ぼこを埋める「救世主」に、との期待もかかる。
■火力発電所から出た廃棄物を再生利用
大阪府岸和田市。大阪湾の岸壁に据え付けられたクレーン車が、長方形のかご(縦2メートル・横1・2メートル)10個を海中に沈めた。
かごには袋が20袋ずつ入っている。それぞれの袋には、計14キロの、手のひらに乗る大きさのねずみ色の破片が詰め込まれていた。
大阪湾の環境を考える産官学民の連携団体「CIFER(サイファ)」(堺市)が、1月下旬に始めた実証実験だ。ねずみ色の破片は、関西電力舞鶴発電所(京都府舞鶴市)の火力発電で出た石炭灰に、セメントと塩水を混ぜてつくった再生材「アッシュクリート」。中堅ゼネコン「安藤・間(はざま)」(東京都港区)が関電の依頼でつくり、硫化物などの有害物質を含んだヘドロを吸着する効果があるという。5年ほど海水を調べ、どれほど吸着するかや、海水への影響などを分析する。