沖ノ鳥島近海での任務のため、出航を控えた台湾の巡視船=1日、高雄、鵜飼啓撮影
台湾の海岸巡防署(海巡署=海上保安庁に相当)の巡視船と漁業署(水産庁に相当)の訓練船の計2隻が1日、日本の沖ノ鳥島近海で操業する台湾の漁業者を保護するためなどとして南部・高雄の港を出航した。日本の排他的経済水域(EEZ)内で活動する見通しだ。
台湾、沖ノ鳥島近海に巡視船派遣へ 「漁民の操業保護」
台湾は、日本のEEZ内で操業していた台湾漁船の船長が海上保安庁に無許可操業の疑いで逮捕されたことを機に、沖ノ鳥島を「岩」と主張し始めた。岩にはEEZを設けることができないため、沿岸12カイリの領海外は公海だとし、漁業の権利があるとしている。
台湾から約1600キロ離れた沖ノ鳥島周辺には数日で到着し、当面1カ月活動する予定だ。漁業署によると、この海域では毎年100~200隻の台湾漁船が操業しているという。ただ会見した海巡署幹部らは、漁民保護とともにマグロの乱獲を防ぐ中西部太平洋まぐろ類条約に基づく巡視を目的にあげた。大挙して押しかけないようにと、暗に漁業者にくぎを刺した可能性がある。
一方、台湾紙・聯合報は関係者の話としてこの海域に軍艦も派遣したと報じた。国防部は軍艦派遣についての確認は避け、「海巡署が漁業者を守り、海軍が海巡署を守る」のが原則と説明。海巡署幹部は「海軍と海巡署は一体」などと述べるにとどめた。(高雄=鵜飼啓)