伊藤若冲の「旭日鳳凰図」が織られた長刀鉾の見送=23日午前、京都市下京区、高橋一徳撮影
今年生誕300年を迎えた「奇想の画家」伊藤若冲(じゃくちゅう・1716~1800)の代表作の一つ、「旭日鳳凰(ほうおう)図」が京都・祇園祭の前祭(さきまつり)で山鉾(やまほこ)巡行(7月17日)の先頭を行く長刀(なぎなた)鉾の後部を飾る織物「見送(みおくり)」に描かれ、23日、関係者に披露された。
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長刀鉾の以前の見送は1837年に作られ、2005年に復元新調された綴織(つづれおり)「雲龍波濤文様(うんりゅうはとうもんよう)」が使われてきた。長刀鉾保存会が設立50年目を迎えるのを機に「平成の見送」として新調した。新しい見送は、絵の部分が縦228センチ、横142センチ。約800色の色糸を使い、織物会社の川島織物セルコン(京都市左京区)が3年かけて作った。
実物の旭日鳳凰図(宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)は色鮮やかな雌雄の鳳凰が細密かつ華麗に描かれている。若冲が京都・錦小路の青物問屋の家督を弟に譲り、画業に専念した1755年に描いた記念碑的作品だ。
■800色の糸操る職人技
超細密で色彩豊かな若冲の花鳥画を織物に――。難題に挑んだのは、京都の老舗、川島織物セルコンの5人の職人たちだった。