イスラム教徒住民による自治政府設立までのカウントダウンボード。法案審議が滞り、数字が記載できないままになっている=フィリピン南部ミンダナオ島、佐々木学撮影
イスラム教徒が多いフィリピン南部で、過激派組織「イスラム国」(IS)の影が浮かび始めた。政府とイスラム勢力との間で約40年続いた紛争が2年前に和平合意に至ったが、治安は再び揺らぎつつある。5月に選ばれる次期大統領は情勢の立て直しに向け、ただちにその手腕を問われることになりそうだ。
フィリピン南部バシラン島で4月9日、地元のイスラム過激派アブサヤフと国軍との交戦で23人(国軍18人、過激派5人)が死亡した。「兵士を乗せたトラック7台を爆破した」。IS名の犯行声明が後日、インターネットに投稿された。
アブサヤフは小規模な集団で、フィリピン軍は「宣伝活動にすぎない」とISの実際の関与を否定。ガズミン国防相も「国内にISの拠点はない」と火消しにまわった。だが、過激派の死者にはモロッコ人が含まれており、国際的なテロ組織が関与した疑いは拭えていない。アブサヤフはISへの忠誠を表明し、アジトからISの旗が押収されたこともある。