13年ぶりに酒蔵に復帰し、杜氏となった王礦生さん=愛知県豊橋市中浜町
愛知県豊橋市中浜町の造り酒屋「福井酒造」を支える杜氏(とうじ)は、中国人の王礦生(おうこうせい)さん(59)だ。昨年、13年ぶりに蔵へ戻り、統括する大役を任された。長いブランクを感じさせない熱心な仕事ぶりに蔵人(くらびと)らの信頼は厚い。「酒造りは子育てと同じ。手をかけて成長を見守ることでおいしくなる日本酒を造り続けていきたい」と意気込んでいる。
北京生まれの王さんは、北京の大学に勤めていた1992年、研究者だった妻が愛知大(豊橋市)で働くことになったため、一緒に来日した。
一方、1912(明治45)年創業の同社はその頃、中国で日本酒の製造を計画。中国語が話せて、酒造りを任せられる人を探していた。当時、社長だった赤井知久会長(72)は知人を介して王さんを紹介された。