土砂降りの雨となった3日午後、熊本県南阿蘇村立野の井川政広さん(65)の自宅では、あちこちで雨漏りが発生し、家中の容器や鍋、桶(おけ)などを使って対応に追われた。3月末に勤めていた会社を退職して「さぁ、これから地元でゆっくりしよう」と思った矢先の大地震。田んぼにあったクスノキの巨木やヒノキを使って建てた思い入れのある家は、倒壊は免れたものの、柱がゆがんで2階が傾き、梁(はり)には亀裂が入った。建築会社からは「(修理には)建て直すよりも金がかかる」と言われているという=高橋雄大撮影
熊本県などでの一連の地震で、被災者向けに全国の自治体が提供している公営住宅への入居決定者が、九州内に集中していることがわかった。国のまとめで、入居が決まった443戸のうち、九州7県が378戸と9割近くを占めていた。広域避難の受け皿づくりが進む中、近い地域にとどまろうとする被災者の動向がうかがえる。
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国土交通省がまとめた都道府県営や市町村営住宅、職員住宅などの確保状況(4月28日集計)によると、入居決定数が最も多かったのは福岡県の225戸。次いで熊本県51戸、長崎県22戸、大分、宮崎両県の21戸。一方、九州以外の都道府県で入居が決まったのは計65戸にとどまり、愛知県18戸、山口県10戸、東京都と広島県が8戸などだった。
熊本県では3日、無償提供される県営住宅(70戸)と熊本市営住宅(250戸)の抽選を実施。両方とも提供数を上回る応募があり、県内の入居決定数はさらに増える見通し。