土砂が採取され、崖のようになった山林の斜面。崖の際には茶畑が広がっている=4月22日、奈良市月ケ瀬長引、朝日新聞社ヘリから、遠藤真梨撮影
奈良市月ケ瀬長引の山林で奈良県が許可した範囲を超えて土砂を掘削したとして、県警は7日、三重県伊賀市の土砂採取会社「三進商事」の社長、福本冨士男容疑者(73)を奈良県砂防指定地等管理条例(砂防条例)違反と森林法違反の疑いで逮捕し、発表した。県警は法人としての同社についても同容疑で書類送検する方針。
県警によると、同社は2010年6月に県の許可を受けて山林の掘削を始めたが、福本容疑者は許可された範囲を超えて周辺の山林約8100平方メートルを13年10月まで掘削し、約4万4千立方メートルの土砂を採取したなどの疑いがある。福本容疑者は大筋で容疑を認めているが、「覚えている期間と違う」とも供述しているという。
現場は京都府南山城村との境。山林の斜面が削られて高さ約30メートルの切り立った崖となった。斜面の上には茶畑があり、崖が茶畑の際まで迫っている。付近の住民から「危ないのではないか」などの声が出ていた。