日本建築学会による益城町の調査範囲
熊本県などの一連の地震で被害を受けた同県益城(ましき)町で、耐震基準が厳しくなった2000年以降に建てられたと見られる木造家屋の全壊が51棟あることが日本建築学会九州支部の調査でわかった。強い揺れが繰り返されたことで、耐震性能が劣る古い建物だけでなく、比較的新しい建物にも大きな被害が出た実態が見えてきた。
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調査は同支部熊本地震災害調査委員会が3~8日、全国の研究者らの応援を得て延べ約200人態勢で実施。益城町で最も被害が出た役場中心の地域にある2641棟全ての損傷程度や、使われている金具や工法から推測される建築年代、構造を調べた。
その結果、阪神大震災を受け建築基準法が厳しくなった00年以降に建てられたと見られる木造家屋51棟が大きく傾いたり倒壊したりして全壊していた。51棟は古い建物も含め被害が多い、町役場南側の県道と秋津川の間に集中していた。調査した東京大の青木謙治講師(木質構造学)は「00年以降の木造が地震でこれだけ壊れたのは初めてなので驚いている」と話す。